鎌倉を離れるにあたり

昨年の夏、気になっていた1冊の本、萬田緑平さんの「家で死のう」を読み終え、

自分の最後はどこで迎えたいのかと自分に問うた時、その場所は意外にも大好きな鎌倉ではありませんでした。

それは驚きもしましたが、不思議にも納得できる自分がいました。

 

 

 私は、田舎の小さな町で暮らし、育ちました。

雪の下から福寿草の花が咲くと春が近づいているのを感じ、ふきのとうを食べ、よもぎ餅を作り、山菜を取りに山へ行き、春を感じました。

 

 夏は畑のイチゴや木の実を食べ、祖母は川海老が好きだったので網を持って川へ行き、えびやシジミ取ったり、蟹や魚を触ったり動きを楽しみながら見ていました。近くには湧き水が流れ、その川でスイカをつめたく冷やし、家族みんなで種を飛ばしながら食べました。

 

 秋は稲刈りの手伝いをしながら近くの山へ行き、栗を拾ったり、きのこを探し、トンボを追いかけ、山にある野生の小さな梨や、山葡萄を食べ、その味は今も忘れられません。

 

 冬になる前には、干し柿を作り、菊の花をむしり、たくあんを漬け、冬の準備をしました。

 

雪の多い地域でしたので、雪の下の土に野菜を埋めて自然の冷蔵庫を作って保存をし、かまくらを作り、スキーやそり遊びをして雪を堪能しました。寒い日の朝のダイヤモンドダストは本当に綺麗です。

 

 又、農家でしたので、祖父は夕方の西の山の雲の動きや風の向きで次の日の天気を予想して農作業をしたり、祖母は飼っていたにわとりや、父が釣ってきたうなぎや魚を手際よく捌いていました。

 

自然の中で、自然と共に生活をしていました。

 

 そして、我が家は人が集まる場所でしたので、近所の人達が毎日入れ替わり立ち替わりお茶のみをし、時には朝からお酒…なんて事もありました。

郵便配達のおじさん達の休憩所だったり、お味噌や醤油を今で言う量り売りもしていました。

 

 

そんなことがどんどん思い出され、

あぁ~こういう生活、自然と共に暮らす生活がしたい

人と触れ合い、暖かさ温もりのある繋がりを作りたいんだなぁ~という思いがあふれ出てきました。

 

地元に帰って、そうゆう場所を作りたい!

 

おじいちゃんおばあちゃん、子ども達、障がいを持っている方、老若男女問わず

分け隔てなく集まり楽しく話ができる場所

気兼ねなく誰でも来れる場所

笑って楽しく話ができる場所

コミニュケーション・情報交換ができる場所

何もしなくても良い場所

ただ居れる場所

 

そんな居場所を作りたいと思ったのです

 

 

 

地元とはいえ、もう30年以上も離れたところ。

不安がないと言ったら嘘になります。

もちろん色々は問題も出てきましたが、自分のやりたいこと、住みたい場所に行きたい思いは全く変わりませんでした。

 

 

そして、気持ちは変わらないものの一番気がかりだったのは託児所 Fairiesのこと。

締めてしまおうか、誰かにお願いしようかなど色々考え悩み、オープン当初から何かと力となり、支えてくれている娘に相談したところ、意外にも即答で「引き継ぐよ!」と。

スタッフ皆さんも娘と一緒に続けると言ってくださり、ホッと一安心。とても嬉しかったです。

素敵なスタッフに恵まれたことにとても感謝しております。

 

 

これから娘がスタッフと一緒に続けていくFairiesは、今までとは違った形にしていこうと意気揚々、スタッフとの話し合いを重ねています。

 

私は鎌倉を離れてはしまいますが、Fairiesがなくなるわけではありませんので

時々顔を出しに来ます!

そして、これからも今まで同様

いえ、今まで以上に利用していただき

お子さんを預けるだけではなく、

鎌倉のママ達、子ども達がキラキラ輝いていけるような場所になるよう

みんなで楽しんで欲しいと思います。

 

 

 

今まで、小さい頃からお預かりをして、ほんの少しでもお子さんの成長に関わることができたこと、

一緒に時間を重ね、楽しく過ごすことができたことは、私にとって喜びでしかありません。

心から感謝申し上げます。

 

 

お子様の成長を遠く岩手から見守りたいと思っております。

 

 

菊地 美由起

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント: 1
  • #1

    藤本恭美 (日曜日, 10 3月 2024 20:38)

    菊池さま
    息子が小さな頃は大変お世話になりました。
    鎌倉のGARDENHOUSEに勤務しておりました藤本です。(息子はびいちです)
    今しがたたまたま拝見したサイトで施設を閉設される事を知り、そして現在はお嬢様が受け継がれていた事を知りました。

    息子は現在5歳になり春には保育園の年長さんになります。息子がまだ1歳前後の時から数回お世話になり、あの頃のことを走馬灯のように思い出しました。
    まだおしゃべりもままならない小さな子を仕事に連れて行けず、そんなときFairiesさんと出会いお世話になり、安心して子供を預けられ仕事ができました。また、普段見る事もあまりない笑顔の息子の写真を送ってくださったり、細やかなお気遣いに感動しましたし本当に本当に有難かったです。

    お母様は現在は田舎暮らしをされていらっしゃるとのこと、きっとあの太陽のような大きな温かい笑顔で田舎の皆様とすてきな毎日を送られていらっしゃるのかなと目に浮かびます。
    いつかまたお目にかかれる日があると良いな〜と思います。

    それから、お母様から引き継ぎになられたお嬢様もお疲れ様でした。子育てしながらの仕事は本当にご苦労であったと思います。
    ぜひ今しかないかけがえのないお子様との時間、大切になさってくださいね。お母様から受け継がれ、今日まで素敵な施設を残してくださりありがとうございました。

    利用させていただき、本当に支えて頂いた感謝の気持ちを伝えたくメッセージさせていただきました。

    ありがとう御座いました。

    お二人のこれからも笑顔あふれる毎日となりますように。

    藤本